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前回は、「自分のことを知るためには、自分のルーツを探そう。そのためにまずは両親のことを知ろう」というメッセージでクローズした。今回の記事では、自分が具体的にどのように自分のルーツを知り、知ったときにどう感じたのかをシェアしていきたいと思う。
私は2024年2月まで19年間、化粧品や健康食品、浄活水器を製造・販売する会社に勤めていた。すでに亡くなっているがその会社の創業者と2代目経営者層は、天道という台湾発祥の教えを主軸に置いた経営をしていて、その教えの中には「自然法則」「親子関係」を大切にする考え方がある。
そのためもあってか、同じ考え方をもつ会社経営/人材育成をサポートする会社と長い付き合いがあり、その会社の研修に参加者として私たち従業員も参加させてもらっていた。
そしてその研修が自分が自分のルーツを知るきっかけでもあった。
その研修では、とにかく両親や先祖のことを知るという課題が多々あり、何を聞いてくるのかも明確にしてくれたので具体例を下に示していこうとおもう。
両親や祖父母そしてその前の代まで、それぞれの・・・
〇その代の時の家の場所
〇その代での家業・仕事
〇その代の先祖の結婚した年
〇子供にどんな教育をしていたのか
〇亡くなった年齢と死因
などなどだ。 そして、両親のことについても、
〇幼少期はどんな子供だったのか
〇どんな恋愛をしたのか
〇自分(両親)の名前の意味
〇自分(両親)はどんな期待をその両親(つまり祖父母)からかけられていたか
などなどを聞いてくるという課題だった。 そして、その流れで、両親から自分の子供(つまりあなた)が生まれた時にどんな気持ちだったか、どんな期待や願いがあったのかなどを聞いてくるということだった。
私はもともと他人に関心を持てる人間ではなく、両親に対しても同様の感覚だっため、聞かなければわからないことだらけだったし、正直、聞いたところで「ふーん」というリアクションで終わる状態で、これを知ることで何の意味があるのかわからなかった。
その研修は1年を通じて何回か泊まり込みで受講する形式だったのだが、その研修が完結する前にあることが起きた。 母ちゃんの突然の自殺だ。
葬儀もひと段落したころも親父はあまりに落胆して何も手がつかない状況だったので母ちゃんの遺品整理を私がやったのだが、これが「自分のルーツを知る」最大のタイミングになった。
私の親父(つまり母にとっての夫)は亭主関白で、威厳と圧力で母や私たち兄弟のことを押さえつけているところがあった。だから母はやりたいこともできず、夫に従うしかない状況だったと私には見えていた。だから私はいつも母ちゃんがかわいそうに見えていたし、いつも自分の威厳を最優先する親父のことは大嫌いだった。
だが、広い家の中でたった1つの母ちゃんの私物だけが入っているタンスを開け、遺品整理をしていたところ、いろんなものが出てきた。
そば打ち検定の修了証、クッキングスクールの卒業証書、化粧品の販売仲間とのたくさんの旅行写真、1人登山の写真・・・ ここで私は思わず笑ってしまった。
「あれ、母ちゃん、めっちゃ楽しんどったやん!」って。
そして、私には姉と兄がいるが、私が小さいときのたくさんの写真が出てきたのだ。
私はめちゃくちゃ愛されていたことをちゃんと知った。そして、母ちゃんは親父に従っているように見せながら、上手に自分の人生を楽しんでいたんだ。
変な言い方かもしれないが、夫の圧力のせいにすれば何も考えずただ毎日生きていくだけでもよかっただろうに、一生懸命人生を楽しむ方法を考え、自ら自分の人生を選んでいた。個人事業主としてやっていた化粧品の販売だって、親父の機嫌を損ねないように上手に言いくるめて始めたんだそうだ。そして、自分の人生の最期まで自分で選んだ形になった。 私は母ちゃんが死んでから、自分の母ちゃんがどれだけすごい女性だったか、心から誇りに思えた。
母ちゃんには上述した化粧品の販売を通して、たくさんの仲間がいた。葬儀にもその仲間がたくさん来てくれて泣いていた。聞けば、「あなたのお母さんに私は人生を変えてもらったのよ」と何人かから教えられた。母ちゃんの法名(死後付けられる名前)は「千照」。たくさんの人を明るく照らしていたからだそうだ。これも自分のルーツの1つだとわかった。
私は要領が悪く、仕事も遅い。失敗もたくさんした。でも、それが原因で憎まれることは少なく、むしろ年上から年下からもかわいがられるキャラクターだったので、「キャラ得」とよく周囲から言われていたが、これは間違いなく母ちゃんからもらったものだったのだ。
そして皮肉にも母が死んでから親父のことも関心を持って本人にいろいろ聞いた。
親父は福岡の良い場所の土地をたくさん所有している地主家系の長男だ。だが、実際には親父には兄がいた。小さいときに病気で亡くなってしまったので、その家としては跡取りの男児が急がれた中で親父が生まれたということだった。
母親からかなり厳しく育てられたこともあり、この家や土地をこれからも守らなければという責任感を背負っていたらしい。
だからこそ、その重圧が自分がお爺さんになるまで抜けることはなく、母や私たちに威厳を示し続け、自分が大黒柱として存在する必要があったのだとようやく理解できた。
また、親父は若いときにはやくざ者とも付き合いがあり命の危険も何度かあったこと…つまりこの家の跡取りとしては世間に言えないこともたくさん話してくれ、実は自由が大好きで、思い立ったら何も考えずにやってしまう、というのが親父の本質だった。
私は今、一般的に定年といわれる年齢になった後、自身でお金を稼ぐ手段を身につけておきたいと思い、そして自由を求めて長年お世話になった会社を退職し、独立に向けて無計画に引っ越し、アルバイトと失業手当で生活しているが、これは親父から受け継いだものなのかな、などと考えたりもする。
上述したとおり、私の場合の両親へのインタビューは、自分のことを知るためというよりは自分の価値観ややりたいことを認識した後の答え合わせという感じになったが、実は近くで見てくれていた仕事仲間から自分の価値観を知るヒントをもらっていた。
だから、自分のことをもっと知りたい、自分のことがわからない!という人は、両親だけでなく、近くで自分のことを見てくれている人(仲良しとかじゃなくていい。とにかく客観的に・中立的な立場で見てくれている人)にも聞いてみることをおすすめする。
ぜひやってみてね!人に聞くことで自分のことがマジでおもしろく感じられるから。
書き方や見てもらい方がわからない人は遠慮なくコメントください。
必ず死ぬ人生、生きている限り楽しもう!
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